こんにちは、事務所代表の鈴木です。
先日、ある業界セミナーに参加してきました。テーマは、人手に頼る事業が多い業界で、企業がこれからどう生き残り、成長していくかというものです。
会場には経営者や役員の方が多く、熱気のある雰囲気でした。その中で強く印象に残ったのが、登壇企業の取り組みと、セミナー終了後に耳にした役員の皆さんの「本音」です。
今回は、その時の話をきっかけに、国の「実践の場」開拓モデル事業を活用して既存業務の効率化を始める方法をお伝えします。
労働集約型の業界が抱える「二重のハードル」
セミナーで共有されたのは、労働集約型の業界に共通する厳しい状況でした。
労働集約型とは
労働集約型とは、売上をつくるために多くの人手が必要な事業のことです。人が動いた分だけ売上が立つため、事業を伸ばすには人を増やすのが基本になります。
人が採れず、コストは上がる「二重のハードル」
ところが今は、その「人を増やす」ことが難しい環境です。求人を出しても応募が集まらない、採用できても定着しない。こうした声は業界を問わず打ち合わせでよく耳にします。
一方で、人件費や物価は上がり続けています。つまり、次の二重のハードルがあるのです。
・人が採れないので、売上を伸ばしにくい
・コストは上がるので、利益が削られていく
この壁の中で、利益の拡大が難しくなっている企業は少なくありません。
セミナーで語られた「守りながら、連携して攻める」戦略
そのセミナーで登壇企業が進めていたのは、既存事業を守りながら、他社と連携して新規事業を立ち上げるという戦略でした。
今の事業をやめて新しいことに賭けるのではなく、土台となる既存事業はしっかり守る。そのうえで、自社だけでは足りないノウハウや人材を持つ他社と組み、新しい事業に挑戦する。すべてを自社で抱え込まないので、リスクを抑えながら新しい収益の柱を育てられます。
人手が限られる中小企業にとって、とても現実的な考え方だと感じました。
セミナー後に聞いた、役員の皆さんの「本音」
セミナーが終わったあと、参加されていた企業の役員の方々と個別にお話しする機会がありました。そこで、こんな声を聞きました。
・「あの会社だからできたことだよ」
・「うちの会社は特殊だから、難しいな」
そのお気持ちはよく分かります。登壇企業は、資金や人材、取引先とのつながりなど、自社にはない条件がそろっているように見えたのでしょう。自社の事情は自社が一番よく知っているからこそ、「他社の成功例は参考にならない」と感じるのも自然なことです。
ただ、ここで一つ考えたいことがあります。新規事業の立ち上げは、確かに大きな挑戦です。しかし、「変わる」ことは、新規事業を立ち上げることだけではありません。
変化の第一歩は「既存業務の効率化」から
大きな一歩でなくても、今の業務を見直すだけで、会社は変わり始めます。たとえば、次のような業務はありませんか。
・紙やExcelに何度も転記している日報・報告書
・電話やFAXが中心の受発注・連絡
・担当者しか分からない見積もり・請求の作業
・毎月同じ手順を繰り返している集計作業
こうした業務は、ツールの活用や手順の見直しで、かかる時間を大きく減らせる場合があります。生まれた時間は、人にしかできない仕事や、新しい取り組みを考える余力に回せます。新規事業や他社との連携を考えるときも、既存業務に余力がなければ、次の一手を打てません。
採用が難しい環境だからこそ、今いる人の力を最大限に活かす。既存業務の効率化は、そのための最も確実な一歩だと考えています。
そして、「うちは特殊だから」という会社ほど、業務に独自の流れが染みついていて、効率化の余地が眠っていることが少なくありません。特殊であることは、変われない理由ではなく、その会社ならではの改善ポイントがあるということです。
「実践の場」事業を活用して、DXツールの導入から始めてみませんか
とはいえ、「何から始めればよいか分からない」「ツールを入れても使いこなせるか不安」「相談できる専門家がいない」という声も多いと思います。
「実践の場」開拓モデル事業とは
そこでご紹介したいのが、厚生労働省の「デジタル人材育成のための『実践の場』開拓モデル事業」です。コンサルタントなどの専門家(アドバイザー)が企業に伴走し、DXツールの導入を支援する取り組みです。アドバイザーの人件費については、国の支援があります。支援は、DXツール導入型の場合、3か月程度・累計144時間までです。
私が伴走する場合
私が、この事業のコンサルタント(アドバイザー)として、DXツールの導入を支援し、企業の皆さまに伴走する場合もあります。担当するアドバイザーは、事務局のマッチングで決まります。高額なシステム開発は必要ありません。すでに多くの企業が使っている既存のDXツール(SaaS)を、御社の業務に合わせて活用します。
対象となるDXツール
対象となるツールには、たとえば次のようなものがあります。
・Google WorkspaceやMicrosoft 365、Web会議などのコミュニケーション基盤
・電子契約、勤怠管理、経費精算、請求書管理などのバックオフィス効率化
・kintoneなどを使った業務フローやデータベースの構築
・ChatGPT、Claude、Geminiなどの生成AIの業務活用
支援3か月の進め方
支援は、3か月間で次のように進めます。
1か月目:現状分析と課題抽出
現場のヒアリングで業務の流れを可視化し、ムダを洗い出して、御社に合うツールを選びます。
2か月目:ツール導入と業務設計
アカウント設定や初期構築をサポートし、現場に無理のない新しい業務フローを設計して、初期トレーニングを行います。
3か月目:現場への定着と自走支援
実際に使える形での運用サポートやマニュアル化の助言を行い、支援が終わった後も自分たちで回せる状態をめざします。
優れたツールも、現場の業務に合っていなければ意味がありません。だからこそ、現場の声を聞きながら、導入から定着まで一緒に進めます。
費用について:アドバイザー人件費は支援あり、ツール利用料は企業負担
アドバイザー人件費は支援あり
アドバイザーの人件費については、国の支援があり、規定の範囲内であれば企業様の直接の負担はありません(上限を超える分は、企業様の負担になる場合があります)。
ツール利用料は企業負担
課題解決に必要なDXツールの利用料は、企業様のご負担となります。
ツールは、廉価で効果の高いものを一緒に選んだうえで決めますので、ご安心ください。なお、この事業は支援の枠に限りがあります。受け入れ期間や支援の内容、参加の要件は年度によって変わることがあるため、詳細は参考サイトでもご確認ください(2026年9月21日時点の情報)。
よくある質問
ITに詳しい社員がいなくても参加できますか?
参加すると、費用はかかりますか?
特定のツールを売り込まれる心配はありませんか?
まとめ:「特殊だから」を、改善のヒントに変える
今回のポイントを整理します。
・労働集約型の業界では、人が採用できず、コストは上がるという二重のハードルがある
・セミナーでは、既存事業を守りながら、他社と連携して新規事業に挑む戦略が語られた
・「あの会社だからできた」「うちは特殊だから」という声は、自然な感覚である
・ただ、変わる第一歩は、新規事業ではなく既存業務の効率化から始められる
・国の支援を活用すれば、コンサルタントの伴走を受けながらDXツールを導入できる
「うちは特殊だから」と感じている会社にこそ、その特殊さを活かした改善の余地があります。まずは国の支援を活用して、既存業務の効率化を始めてみませんか。
「何から手をつければよいか分からない」という段階でも構いません。自社が事業の対象になるかどうかも含めて、お気軽にご相談ください。翌営業日までにご連絡します。
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